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KIROMERU’s Web MOVIE&DRAMA@CINEMAD

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ダーティ・ハリー

(2002年11月20日の日記から)

「お前には黙秘する権利がある。お前が話すことすべて法廷で証拠として採用される。お前は弁護士を雇う権利がある。弁護費用がない者には政府がその費用を負担する」
映画で(映画以外じゃ聞きたくないけど)警察が容疑者を逮捕するときに言う台詞。つまり『ミランダ権』の通達である。
1966年、アーネスト・ミランダがアリゾナ州・フェニックスで少女を誘拐・レイプして逮捕され、その罪を認めた。しかし黙秘権や弁護士を雇う権利をミランダが知らなかったために彼は無罪となる。この判決以来『ミランダ権』の通達が義務付けられたそうだ。

実在の警察(『ミランダ権』はアメリカだけだよね)も使っているわけだけど、これは当然、生きている容疑者に向けられて語られる言葉ですよね。
僕の好きな映画のひとつ『ダーティ・ハリー』のオリジナルタイトルは『DEAD RIGHT(死んだ権利)』。ハリー・キャラハンは『ミランダ権』で容疑者の権利ばかり保護されて、被害者(死人)の権利はどうなってんだと、44マグナムで容疑者をぶっ放すわけです。
映画でスコルピオを追いつめたハリーは、「弁護士を呼べ!」と叫ぶスコルピオの足を拳銃で撃ち、拷問しながら、誘拐された少女の居場所を聞き出す。少女は遺体で発見され、スコルピオはハリーが『ミランダ権』の通達をしなかったために釈放される。
『ダーティ・ハリー』のストーリーの中に『ミランダ権』の歴史が織り込まれているのである。

しかし、『ダーティ・ハリー2』では、『1』でのハリーの役まわりを別の警官が行ってしまう。法が裁けなかった悪人を白バイ警官たちが次々に処刑していくのである。『2』のハリーは、もはやアウトローのハリーではなくなってしまった。
ハリーがハリーとして存在するのは『1』だけなんです。

クリント・イーストウッドという人は、世代的にはアメリカンニューシネマ時代ですが、その流れに乗らず、役者としても監督としても常にアメリカの正義を貫いている感じがしますね。それは『ダーティ・ハリー2』の上司や権力に対して根本的な部分で対立することなかったハリーに甘んじてしまったための結果だったりするのかもしれません。
それはシュワルツネッガーが『ターミネーター』のヒットのために、『ターミネーター2』で悪役ができない脚本になってしまったことと似てるかもしれませんね。
あっ!『バットマン』は悪役だったか!でもあれも完全悪じゃないもんね。




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